欧米が契約社会で、何から何まで契約条項に書き連ねた分厚い契約書を交し合うのに対して、日本の場合には商慣習上、口約束でなんとなく仕事が始まってしまう傾向があります。これは昔ながらの職種に限らず、フリーエンジニアの世界であっても少なくありません。
まずフリーエンジニアが一つ一つの案件についてクライアントから業務を委託されるならば、業務委託契約を結ぶことになります。これは仕事の完成に対して報酬を支払うという契約です。仕事を完成できる限り、クライアントから就業時間や就業場所の指示を受けることはありません納期までに完成品を納入出来るのであれば、仕事を1日で終わらせようが10日掛けようが、クライアントが口出しをする問題ではないのです。しかし時には、会社に勤めているにもかかわらず、経営者から形ばかりの独立を薦められて、業務委託契約を結ぶよう迫られる場合があります。もちろん業務内容はこれまで通り、年収もこれまで通りで、就業時間や就業場所もこれまで通りというわけです。もっとも個人事業主になるため表向きは報酬が上がるかもしれませんが、その分社会保険を削られますし、場合によっては機材や場所の使用に対して使用料を差し引かれるかもしれません。このような「偽装請負」は建築業界などを中心に蔓延しているようですが、安易に会社の言いなりになると、損をするので注意が必要です。
派遣先から更に派遣される二重派遣。労働者が不利になるため法律で禁止されています。業務委託の場合は問題ありませんが、業務委託を騙る偽装請負の可能性もあり、注意が必要です。告発により減少傾向にありますが、未だにゼロではないため知識を身につけておくと良いでしょう。
派遣先の社員から業務指示を受けている場合は「請負」だろうが「派遣」だろうが100%違法
二重派遣の図を用いた説明<客先常駐プログラマ&SEからのキャリアアップ転職>
URL:http://jochu-carrierup.net/nijyuhaken/nijyuhakenjirei/
基本的にIT業界は、人材派遣が多いこともあって、多重派遣が横行しています。
IT業界の二重派遣について記載<IT入門マニュアル>
URL:http://it-manual.com/exposure/multiple.html
ITエンジニアにとって、クライアントからの業務を委託してプロジェクトを開始しても、途中での変更は少なからずあります。中には変更を繰り返しているうちに、納期が迫って仕事の完成に焦るあまり、詳細を詰めることなく進めてしまい、後々報酬額や費用で揉めることにもなりかねません。トラブルになれば、立場の弱いフリーランスが泣き寝入りせざるを得なくなるのであり、見積もりや受発注書はその都度、明確に書面で交わして確認し合うよう求める必要があります。
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